精工舎（セイコー）を代表する懐中時計の精工舎プレシジョン（19セイコー）7石になります。1929（昭和4）年11月から1971（昭和46）年までの長きに製造された19型ムーブメントの精工舎（セイコー）プレシジョンは容姿は変えず中身を改良しながら製造され、それぞれの時代の生き証人として、時を刻んできた日本の宝と思い、収集して参りました。今回出品させて頂くのは、戦後1945年の占領下時代に日本の未来を信じ物資の乏しい中、意地と根性で作り上げた群馬県桐生工場製造のオキュパイド19セイコーになります。いくつかの特徴として、ムーブメントの角穴車に渦巻きの様な彫刻模様があります。これは終戦直後の特徴と思います。ケースは戦前から精工舎との付き合いが深い会社の林精器製造製の林ケース（H刻印有り）のスクリューケース（裏表両面）になります。饅頭型竜頭、楕円提げ輪っか、首長、薄い白塗装文字盤（当時は塗料不足から無地文字盤が主流）と、この時代の生き証人モデルになります。分解清掃を致しましたが、日差5分位までしか追い込みできませんでした。鉄ゼンマイにも巻きクセがありますが、あくまでもオリジナルを維持したくて、当時のままで修繕しています。打刻音を聴いていると「もういいよ、ありがとう」と言っている様に私には聴こえてきます。ゼンマイの巻き方、時刻合わせに少しコツがいるかも知れませんが、許して下さい。これからは、貴方のもとで幸せな時を刻んでもらいたく出品致しました。この19セイコーとの一期一会の出逢いをお手伝い出来ましたら嬉しいです。よろしくお願い致します。