【諸元】長さ545mm 重さ302g 頭部直径34mm 底部直径52mm 歌口内径縦19mm 横20mm エッジ深さ3.5mm 最大指孔11mm 作者説明：焼印の古い書体の漢字が読めず友人の書道家に画像を送って尋ねたところ「有聲」と即答。読みは「ゆうせい」ですがどういう意味があるのでしょうか。昔の尺八はすべて「地無し延管」でした。節を抜くだけで何もしないのが地無し尺八で、それが次第に安定した音を求めて一部「地盛り」となりやがて全面「地塗り管」になりました。また長い延べ管はやがて携帯しやすく製作時に長さ調整や加工しやすい「二本継ぎ」に変わって行きます。この尺八は「二本継ぎ」なのですが中には節がしっかり残っているのです。外見は新しく中身は古いというレアな尺八なのです。おそらく作者は地無し尺八の音色がとても好きだったのだと思います。 音量はそこそこですが音色は上品です。息もそれほど必要としない吹きやすい楽器です。修正点は次のとおり。 ①歌口の開口部を広げた ②第３孔の位置を下げ現代調律に直した。③指孔を拡大した ④管尻孔整えをラッパ状にした 改修の結果、より上品かつ芯のある音色の楽器になりました。それどころか、吹き込んでいくうちにこの尺八の不思議な力に気づきました。それは尺八が「優しい音色で吹いて欲しい」「丁寧に音を繋いで欲しい」と演奏者に音を要求してくるように感じることです。嘘ではありません。無理な吹き方は拒絶されているように感じるのです。いろいろな曲を試し吹きをしていてわかりました。例えばこんな曲は気持ちよく歌ってくれます。https://youtu.be/a8K4K9bHVkQ